2012年 5月の記事一覧

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12年05月15日 08時50分01秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は強制認知についてみていきました。

今回もその続きです。

婚外子と父については認知がなければ法定親子関係が発生しません。が母との間では分娩の事実が確認されれば当然に法定親子関係が発生します。これは以下の事件から最高裁が認定したものです。

X女はA男と愛人関係にありA男の子Yを産みましたがYをAの戸籍にもXの戸籍にも入れることができず(時代は大正です)、Xの養父母の知り合いのB夫妻の子として出生届を出したのちXの養子としました。その後成人するまでXが育てていましたがAの家業と継ぐためにXとの養子縁組を解消してAとの養子縁組を行いました。その後YがXとの親子関係を否定しだしたため、XがYとの親子関係を確認する訴えを提訴するにいたりました。その裁判の中で母子は分娩の事実があれば母の認知を待たずして法定親子関係が当然に発生すると判事しています。(最判昭和37.4.27)ただ現代においてはテクノロジーの発達により体外受精や代理分娩が可能となっており、この当時の論理が必ずしも通用しなくなってきているのも事実です。

次回は準正についてみていきます。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



藤原司法書士事務所

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12年05月14日 08時37分34秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は強制認知についてみていきました。

今回もその続きです。

父の死から3年を経過すると強制認知の訴えは提訴できません。

では父の死が客観的に明らかでなかった場合にも死亡認定から3年を経過していた場合、それでも厳格に適用されるのでしょうか?

この事件に対し最高裁はそもそも強制認知の訴えをしようにも父の死が客観的に明らかでなく、それまでは父の戸籍上の嫡出子の身分を得ていていたのだから訴えをしないのもやむを得ないものであり、出訴期間を父の死亡の認定日からすれば酷であるとして、このような場合特段の事情のない限り出訴期間は父の死亡が客観的に明らかになったときから起算すべき(最判昭和57.3.19)としました。これを認めなければ生死もわからない状態で真実の父との法定親子関係を築くことが不可能になってしまいます。妥当であると言えるでしょう。

次回もこの続きです。

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12年05月13日 09時37分43秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は強制認知についてみていきました。

今回はその続きです。

強制認知の訴えの原告は「子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人」となっています。子が小さければ母が原告となるでしょう。

出訴機関は父が生存していればいつでも可能ですが、問題となるのが父が死亡していれば3年以内という制限がついてしまいます。(ちなみに父の死亡後の被告は検察官です)

この3年というのは結構厳格で現代のようにDNA鑑定が進み真実の親子関係の証明が容易であっても3年を経過していれば請求は棄却となってしまいます。

では父の死が明らかでなかった場合、父の死亡の認定が3年を経過していた時はどうなるのでしょうか?

事件を簡単に説明すると父母は内縁関係でが続いていましたがあるとき父の失踪が失踪してしまいました。(これが昭和50年11月の頃)その後出生した子(昭和51年2月)をかねてから提出予定であった婚姻届(父の署名が予めあった)と提出し父の子としての身分を得ましたが、昭和53年12月に実は父は失踪直後に死亡したことが判明したため、婚姻届が無効となり父の子としての身分を失ってしまいました。そこで母が強制認知を提訴しようとしたところ父の死亡は昭和50年11月であるため出訴機関は3年を1か月経過しています。

この結果は果たして?

次回見ていきます。

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12年05月12日 08時47分49秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は認知についてみていきました。

今回もその続きです。

認知は父とその婚外子との法定親子関係を確立するものです。がその意思表示は原則父の任意の意思表示によるものとなります。そうなると卑怯な男が認知をしないといったことも可能となってしまいます。そこで民法は訴訟により強制的に父と婚外子との法定親子関係を設ける道を認めています。これを「強制認知」とよびます。この訴えが認められれば例え父が嫌がろうとも父が認知したのと同じ効果が得られます。(現代ではDNA鑑定が進んでいるのでより真実の父との関係が確定しやすいでしょう)

次回もこの続きです。

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12年05月11日 08時50分06秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は「認知」についてみていきました。

今回もその続きです。

婚外子と父との親子関係を確定させる認知はその効果が出生まで遡ります。実の親子であるのである程度当たり前だとは言えます。

認知により父の非嫡出子の身分を得るので、法定の親子としての様々な効果が発生します。例えば互いが推定相続人の範囲に含まれてきますし、相互扶助義務も発生します。父の一方的な意思表示により親子としての様々な効果が発生してしまいますので、父の乱用的な認知を防ぐため子が成年に達している場合その承諾が必要となります。これは子が幼い時には扶養義務を果たさなかったのに子が成年に達した後、自篠の面倒を見てもらうために認知をすることを防ぐ目的があります。同じように子が死亡している場合、その子に直系卑属が存在しているときにその直系卑属が成人しているときにもその同意が承諾となってきます。

またこれとは別に子が胎児である場合、認知をするには母の承諾が必要です。これは母の名誉を守る必要性から導き出されています。つまり、婚姻関係にない男女から出生する予定ですので胎児の段階で認知をするには懐胎している女性の承諾を必要としています。

次回もこの続きです。

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12年05月10日 09時10分37秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は父を定める訴えについてみていきました。

今回は「認知」についてみていきます。

法律婚以外で出生した子と父との親子関係を確定するには「認知」が必要となります。

この「認知」とは父が子を自分の子であると認識する法律行為です。

認知は基本父の一方的な意思表示で行うことができます。父が未成年者であっても成年被後見人であっても意思能力(=事理を認識できる能力)があれば。可能です。また遺言で認知をすることも可能です。

その認知の方法としては、戸籍法の定めに基づいて行う必要があります。

認知の効果として「認知は出生の時にさかのぼってその効力を生ずる」(民784条)と定められていて生まれた時から父の子としての法律上の効果が発生します。但し、第三者がすでに取得した権利を害することはできません。

このように父との親子関係を出生の時まで遡って確定させる認知の効果は強力であると言えます。

次回もこの認知を見ていきます。

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12年05月09日 08時37分11秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は内縁関係から出生した子の身分についてみていきました。

今回は父を定める訴えについてみていきます。

婚姻成立から200日後、又は婚姻の解消・取消しの日から300日以内に生まれた子については妻が婚姻中に懐胎したものとの推定が働き妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子としての推定が働きます。しかしこの規定上をよく見ると推定が重なってしまう期間が存在してしまいます。そのため女性に関しては再婚禁止期間が設けられていることは以前取り上げました。しかし再婚禁止期間に女性と新たに婚姻する男性との婚姻届が受理されるとその婚姻は無効ではなく取り消しうる婚姻となります。しかも仮に取り消しをしたとしてもその効果は離婚に準じるため後婚の推定が働いてしまいます。そこで前婚と後婚の推定が重なってしまうような場合、父を定める訴えの制度を設けてこのような場合に対応することができます。現代ではDNA鑑定の技術が進んでいるのでこのような場合の父を定めることはこの規定が定められた頃よりは容易になってきました。

次回は父と婚外子との親子関係を確定させる「認知」についてみていきます。

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12年05月08日 08時30分12秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は内縁関係にある子の身分についてみていきました。

今回もその続きです。

内縁関係にあった男女が子ができたことをきっかけに婚姻届を提出したとします。出産がその届出より200日以内であった場合夫の子としての推定が働くのでしょうか?

実はこの場合一応夫の嫡出子としての身分を得ますが、夫の子としての推定が働かず何時でもまた訴えの利益があれば誰からでもその身分を覆される危険が残ってしまいます。

また内縁成立の日から200日以後又は内縁解消の日から300日以内に生まれた子は一応内縁関係の夫の子としての推定が働きますが、その推定は事実上のものでしかなく、父の認知なくして法律上夫の子として取り扱われるものではない(最判昭和29.1.21)とされています。

次回は父を定める訴えを見ていきます。

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12年05月07日 08時52分43秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は推定の及ばない嫡出子について説明しました。

今回は内縁関係にある場合の子の身分についてみていきます。

法律婚ではない男女の関係から生まれた子について、母との関係では分娩の事実により親子関係は確定します。が父との関係は法律婚とは違い父の「認知」がなければ親子としての関係は確定しません。これは実態上夫婦としての関係を持っていたとしても不倫関係にあった場合でも同じです。さらに例え父が出生届を提出したとしても認知には当たらないとされています。

では内縁が先行していて子供が出来たため、これを機に正式に婚姻届を提出したとします。その出生した子は法律婚から出生したので父母の嫡出子としての身分を一応得ます。しかしその婚姻届の提出した日が子の出生した日より200日以内であった場合、法律上の父の嫡出子としての推定が働くのは婚姻成立より200日以後であるのでどのような取扱いになるのでしょうか?

次回以降説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



藤原司法書士事務

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12年05月06日 09時34分22秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は推定の及ばない嫡出子について説明しました。

今回もその続きです。

推定の及ばない嫡出子の場合夫が嫡出を否定するにはどのような方法があるのでしょうか?

推定が及んでいる場合、夫には嫡出否認の訴えによって否定することになりますが、推定の及ばない嫡出子にもその規定が及ぶのでしょうか?

実は推定の及ばない嫡出子の場合は「親子関係不存在の訴え」を提訴することができます。

この訴えと嫡出子否認の訴えの違いについて

①出訴機関に制限がない

②訴えの利益があれば提訴権者に制限が設けられていない

点が挙げられます。

次回は内縁関係から生まれた子はどのような対応になるのでしょうかを見ていきます。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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12年05月05日 08時43分46秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は推定の及ばない嫡出子について説明しました。

今回もその続きです。

もう一つの事件は夫は妻が出産する9か月前から別居状態になり、その以前から性交渉はなかったものの、別居後に性交渉をする機会があったほか婚姻関係が継続していることに基づきて婚姻費用の分担や出産費用の支払に応じる調停が成立していて夫と妻の間に婚姻の実態が存在しないことが明らかであったとは言い難いとして夫の子ではない客観的事実とまでは言えないとして夫の子との間の親子関係が存在しない旨の主張を退けました。

次回もこの続きです。

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12年05月04日 08時54分26秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は推定の及ばない嫡出子について説明しました。

今回はその続きです。

婚姻関係が存続したうえで妻が懐胎した場合であっても、夫の子ではない客観的事実がある場合、夫にとってその出産された子は嫡出子としての推定が及ばないことは前回取り上げたところです。では夫の子ではない客観的事実はどの程度のものでしょうか?

一つ目の事件は婚姻関係が事実上破たんしていて、その期間も実に2年半以上におよびその間当然性交渉もなく(別居状態にあり)その後別の男性Aの子を身籠り、出生した後10年経過したときにAに対して認知請求をしましたがAはその子は前の旦那の子としての推定が働いているとして自身の子ではないと主張しましたが裁判所は法文上推定が働く場合であっても事実上離婚の状態にあり、単に届け出が遅れている場合であれば実質的には推定は働かず前夫からの嫡出否認がなくても実の父にに対し認知請求が可能であると判事しています。(最判昭和44年5.29)

次回もこの続きです。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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12年05月03日 09時58分49秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は嫡出否認の訴えについて説明しました。

今回は推定の及ばない嫡出子についてみていきます。

子の推定の及ばないとはどういう意味でしょうか?

婚姻中の夫婦から出生した子は母は分娩の事実から親子は確定します。(但し現代では代理母等からそう言い切れなくなっていますが)父の場合は父の子である推定が働きます。

では婚姻中であっても事実上父の子でないことが明らかであるような場合にも父の子であることが推定が形式どうりに当てはまるのでしょうか?つまり例えば夫が海外に単身赴任していて日本に1年以上帰ってきていない場合に妻が懐胎したとすればどう見ても夫の子とは言えません。このような場合の妻から出生した子のことを夫からすれば推定の及ばない子とされます。

次回もこの続きです。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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12年05月02日 08時35分44秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は夫は嫡出否認の訴えを提訴することができることを説明しました。

今回もこの続きです。

法律婚から生まれた子であっても妻の場合は分娩の事実から親子関係は確定しますが、夫の場合は推定にとどまるので嫡出否認の訴えを提訴することができます。そのため子の訴えの原告適格者は原則夫のみとなっています。(例外として提訴することができる期間中に夫が死亡すれば夫の3親等内の血族が原告適格を得ます)相手方は子または親権を行う母となります。これによって嫡出を否定されると夫と子の間では親子関係が発生せず、その結果互いは推定相続人とはなりません。もっともこのような訴えを提訴するのであれば、妻との婚姻関係はすでに破綻している又は破綻した後と言えます。

次回は推定の及ばない嫡出子についてみていきます。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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☎099-837-0440
12年05月01日 08時39分25秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は嫡出子の推定が働く規定について説明しました。

今回はその続きです。

法律婚から生まれた子であっても嫡出子が確定するわけではなく、推定が働くに過ぎないことは前回説明しました。そして夫は出征を知った時から1年以内であれば自分の子ではないことを訴えによって否定できます。これを嫡出否認の訴えと言います。この期間を過ぎると嫡出否認の訴えを提訴することができなくなりますが、この期間内であっても夫が子の出生後においてその嫡出であることを承認したときも嫡出否認の訴えを提訴することができなくなります。ただ承認がいかなるものかは規定がされていなく、また出生届けを提出することは証人には当たらないとされています。

今回は短いですがここまでです。

次回もこの続きです。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



藤原司法書士事務所

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