2011年 12月の記事一覧

11年12月16日 09時20分00秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回まで遺産分割の対象となる財産について説明しました。

今回は協議による分割を説明します。

協議による分割の場合は協議が成立する限り、内容的にどのような分割がなされても構わないことになっています。具体的相続分率に従わない分割も有効となります。共同相続人が納得していれば実質的に一人に集中させることも可能です。

では分割協議に瑕疵(何かしらの欠陥)があった場合にはどうなるのでしょうか?

①参加すべき相続人が参加できなかった場合

これについては以前も説明したとおり協議全部が無効となります。但し強制認知の場合にのみ価額賠償による請求が認められます。

②分割協議における詐欺・錯誤(勘違い)・強迫等

これらについては民法の総則の原則に従います。(今回は省略します)

③協議は有効に成立したのに協議で決めた内容を守らないものがいた場合

例えは夫が死亡し妻乙と子ABCの4人が相続人となり分割協議で長男のAに母甲の面倒を見る代わりに遺産の大部分を相続させる旨の協議が成立後、しかしAは約束を守らず母甲に扶養もせず暴力までふるうようになってきた場合、約束を守らなかったとしてBC及び甲が遺産分割の解除を求めてることが果たして民法の契約法同様に債務不履行を理由とする解除と同じくが認められるのでしょうか?

次回説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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11年12月15日 09時04分02秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は遺産分割の対象となる「債務」について説明しました。

今回はその他財産について説明します。

①借地権、借家権

これらも実は相続の対象となります。但し公営住宅に関しては条例が優先され借家権は相続できない場合もあります。

②生命保険金

被相続人の死亡により支給される生命保険金はどのような取り扱いになるのでしょうか?

実は生命保険金は税法上は別として相続法上は相続財産ではなく、保険金受取人の固有財産となり遺産分割の対象となる財産とはなりません。

③傷害保険

これについても生命保険同様遺産分割の対象となる財産ではないとされています。また単に保険受取人が「相続人」となっていた場合は法定相続分に従った割合で受け取ることになります。

④遺族年金・死亡退職金

遺族年金は亡くなられた方の稼得能力の填補であるから遺産分割の対象となる財産ではないことは以前にも説明しました。(だからこそ相続人と順位や範囲が異なる)

死亡退職金に関しては賃金の後払い的な要素があるのでそれを特別受益とみる裁判例もあります。

尚生命保険金や死亡退職金等は税法上は「みなし相続財産」として取り扱われ相続税の算定対象財産となります。

次回は遺産分割の具体的な内容に入ります。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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11年12月14日 08時57分24秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は遺産分割の対象となる「債権」について説明しました。

今回は「債務」ついて説明します。

「債務」というのは人に対する義務を言います。債務も相続財産となることは以前にも説明しました。

では遺産分割の対象とすることはできるのでしょうか?

例えば金銭債務(借金等)は遺産分割により共同相続人の一人が負うことは可能でしょうか?

この場合遺産分割協議自体は有効ですが、債権者にはその主張ができないとされています。(但し債権者がその協議に承認を与えれば当然有効になります)債権者は各共同相続人に対し法定相続分の債権を行使できます。

また債務の性質上遺産分割できない債務もあります。例えば売主の登記義務などです。具体的には不動産の売主が不動産を売却後、登記を移転していなかった場合に死亡してしまった時、売主の共同相続人全員が売主の登記義務を負い、その手続きに参加しなければなりません。仮に一人でも拒む者がいたときはその者に対し裁判を行わなくてはならなくなります。

このように債務については必ずしも遺産分割の対象にできるとは限らないことになります。

次回はその他財産について説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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11年12月13日 08時44分11秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は遺産分割の対象となる財産について説明しました。

今回もその続きです。

さて内縁関係にある男女が別れる際、法律婚に準じて財産分与が認めらるが内縁配偶者が死亡した場合はどうなるのかという問題があります。果たしてどうなるのでしょうか?

結論から言えば最高裁は死亡による財産分与を認めなかったです。(最判平成12.3.10)その理由として離婚による解消と死亡による解消を民法は区別しており、仮に認めると相続による財産承継に異質の契機をもたらしてしまい、混乱を招く恐れがあるためとしています。但し前にも説明したとおり遺族年金の場合には法律婚に準じて遺族年金の受給は可能となります。

次回は債務について説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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11年12月12日 08時43分31秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は遺産分割の対象となる財産である物権について説明しました。

今回は「債権」について説明します。

債権とは人に対する権利です。

個々に見ていきます。

①損害賠償請求権

不法行為や債務不履行による損害が発生したときにその賠償をしてもらえる権利ですが当然相続財産であるといえますが、例えば交通事故で亡くなられた方のその方が加害者に持つ損害賠償も相続の対象といえるのでしょうか?(遺族が持つ損害賠償とは別)

学説上では対立がありますが、実務上は相続できるとされています。(最(大)昭和42.11.1)

②扶養請求権

夫婦間の婚姻費用分担請求権や親族間の扶養請求権等は一般的には被相続人の一身専属となり相続の対象外となりますが、すでに金銭債権化していれば相続できるとされています。さらに生活保護受給権は金銭債権化していても相続の対象外とされています。(朝日訴訟 最(大)昭和42.5.24)

③財産分与

財産分与とは離婚時またはその後において、婚姻期間中に夫婦が築いた共同財産の清算を行うことを言います。例えば法律婚でない内縁関係にある夫婦がその関係を終了した場合、法律婚に準じて財産分与できるとされています。では内縁関係にある夫婦の一方が死亡した場合、その関係は終了するので離婚に準じて財産分与できるのでしょうか?

次回説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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11年12月11日 09時45分52秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回から遺産分割の対象となる相続財産について説明しています。

今回はその続きです。

仮の権利である「占有権」の相続を認める意義はどこにあるのでしょうか?

実は民法では者に対する絶対的な権利の「所有権」に対し、本来なら売買や贈与等の行為がない限り失うはずのない「所有権」を喪失する規定を置いていて、所有の意思を持って平穏にかつ公然と他人の物を占有したものが一定の期間を経るとその物の所有権を取得することができます。これを「取得時効」と呼びます。この「取得時効」において占有権の相続を認める意義が出てきます。ちなみに不動産の取得時効の場合登記原因は○○年○月○日取得時効となります。これだけを聞くと元々の所有者に対して不公平感を感じますが、一定の期間は原則は20年間ですし(善意=自分のものと疑わないものなら10年)権利を主張できたのにそれをしなかった方と外観上の権利を取得しているものとの調整と経済活動上の安定性との妥協であるといえます。

次回は「債権」について説明します。



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11年12月10日 09時48分35秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は遺産分割の対象となる財産について考察しました。

今回はその続きです。

「被相続人の財産に属した一切の権利義務」が遺産分割の対象財産となりますが、具体的にはどのようなものが当たるのでしょうか?

一つずつ検証していきます。

①物権

「物権」とは者に対する権利です。人に対する権利を「債権」と呼びます。民法はいわゆる生物学上の人(ホモサピエンス)と法律上の擬制たる人「法人」以外はすべて物として取り扱います。だからもし宇宙人が発見されたとしても妖怪が見つかってもそれは人ではなく物として取り扱います。

物に対する権利「物権」が相続の対象であるのは問題ないですが、仮の物権と呼ばれる「占有権」も相続の対象になります。少し解り辛いのですが「占有権」とは単に外観上「物」を占有しているものは、その物に対して何かしらの正当な権利があるから占有しているのだろう期待を保護するものです。この「占有権」を相続の対象財産と認める意義はどこにあるのでしょうか?

次回説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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11年12月09日 09時21分31秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回まで遺産分割の当事者について説明しました。

今回は遺産分割の対象となる財産について説明します。

遺産分割のためにはまず分割の対象となる財産の範囲を確定してそれを評価しなければ分割の協議はできません。また不動産を賃貸に出していれば単に不動産の価値だけでなくその賃貸収入もあるでしょうし、それをどのように評価する問題も出てきます。

ではどのような財産を対象とするのでしょうか?

当然相続を前提としていますので秘蔵族人に属しかつ一身専属ではない相続財産となります。

具体的な相続財産は次回以降説明します。

今回は非常に短くなってしまい申し訳ありません。

(12月なので 多少二日酔い気味です・・・)

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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11年12月08日 08時32分11秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は遺産分割の当事者について説明しました。

今回もその続きです。

さて民法には「死後認知」の制度があります。

これは生前父が子を認知していない場合子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人が父の死亡後3年以内であれば裁判によって親子関係を認めてもらう制度です。

では仮に遺産分割協議後、死後認知の裁判が提訴され親子関係が確認されたらすでに成立した遺産分割にどのような影響を与えるのでしょうか?

この場合には意図的に共同相続人の一人を排除したわけではありませんので遺産分割は無効とはならず、しかし共同相続人の一人であるので他の共同相続人に対し金銭請求を持つことになります。(民910)

但し母子関係の場合親子関係は分娩の事実によって生じるため、遺産分割後に被相続人である女性に非嫡子がいたことが母子関係存在確認訴訟の結果判明した場合は民910条の適用はなく遺産分割そのものが無効となってしまいます。

次回は遺産分割の対象となる相続財産について説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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11年12月07日 09時00分43秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は遺産分割の当事者について説明しました。

今回はその続きです。

さて共同相続人の一人が行方不明である場合、相続人全員が関与しなければならない遺産分割の協議は開くことはできないのでしょうか?

民法はそのような事態に備えて不在者の財産管理制度を設けています。

具体的には不在者が財産管理者を置かなかった場合、利害関係人または検察官の請求によってその財産の管理について必要な処分を命じることになります。その必要な処分の一つに財産管理人の選任があります。財産管理人の権限は財産の保存行為及びそのせい出を変えない範囲での利用改良行為に原則限定され、それを超える行為は家裁の許可が必要になります。よって財産管理人が不在者の代わりとして遺産分割協議に関与するのであれば家裁の許可を得たうえで参加することになります。

このように共同相続人の一人が不在であっても遺産分割協議は可能です。

では、民法には「死後認知」の制度があります。

これは生前父が子を認知していない場合子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人が父の死亡後3年以内であれば裁判によって親子関係を認めてもらう制度です。

では仮に遺産分割協議後、死後認知の裁判が提訴され親子関係が確認されたらすでに成立した遺産分割にどのような影響を与えるのでしょうか?

次回説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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11年12月06日 08時52分05秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は遺産分割の手続きについて説明しました。

今回はその続きです。

遺産分割の当事者として相続人等が該当することは前回説明しましたが、胎児はどう扱われるのでしょうか?

実は胎児は相続に関しては生まれたものと「見做し」、相続人として扱われます。実は登記も可能です。

(その際の登記名義は「亡甲妻乙胎児」となり、出生後変更登記をします)

しかし、遺産分割に関しては何も規定がないので学説に争いがありますが、胎児の出生を待って遺産分割をするべきとの説が多くまた実務上も合致します。

また、遺産分割の当事者が配偶者と子である場合子が未成年なら親の親権がこの利益と相反していますので子のために特別代理人を選任する必要が出てきます。

遺産分割協議には当事者が全員参加しなければ全体が無効となってしまいます。(但し一度の会議に全員参加しなければならないという意味ではない)

では相続人の一人が行方不明ならどうなるのでしょうか?

次回説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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11年12月05日 08時40分42秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回から「遺産分割」について説明しています。

今回はその手続きについて説明します。

まず分割の手続きとして相続人等の協議で分割する「協議分割」を原則としますが、協議が調わないとき又はできないときは調停による分割や家裁による審判による分割もすることができます。

また被相続人が遺言で指定もできますし、指定は遺言者自身でしなくても第三者に委託することができます。逆に相続開始から5年を超えない範囲で分割を禁止する遺言を残すことも可能です。

では当事者はどのようになるのでしょうか?

まず相続人が当事者となるのは当然ですが、包括受遺者も当事者となります。更に相続人は自身の「相続分」を第三者に譲渡することができその場合相続分の譲渡を受けた第三者も当事者となります。その他遺言執行者も当事者の一員です。では胎児はどうなるのでしょうか?

次回説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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11年12月04日 10時11分42秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は「寄与分」の定め方について説明しました。

今回から「遺産分割」について説明します。

さて、被相続人が特に遺言で遺産について意思を示していなければ、共同相続人は法定相続分を元にここの財産を具体的に分けていく必要が出てきます。

これらの話し合いを「遺産分割」協議と呼びます。

ただ民法も遺産分割にあたって方向性を示しており「遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して」なされなければなりませんし(民906)同時に分割に際しては、相続財産の経済的価値を害さない形での分割を行う配慮も必要であるといえます。

では具体的にはどのように行っていくのでしょうか?

次回以降説明します。

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11年12月03日 09時45分04秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は「特別の寄与」について説明しました。

今回は「寄与分確定の手続き」について説明します。

寄与分はまず共同相続人間の協議で定めることが原則となります。

但し協議が調わず又はできないときは家庭裁判所が寄与者の請求により、寄与の時期、方法及び程度相続財産の額その他一切の事情を考慮して寄与分を審判で定めることになります。

ただ「寄与分」のような微妙な判断はそれだけ独立して定めるよりも「遺産分割」の中で柔軟に考慮することが合っていますので家裁への寄与分の審判の申し立ては遺産分割の手続きの中で行うことが要求されています。

このように法定相続分は様々な修正を受けて具体的に確定していきます。

次回は「遺産分割」を説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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11年12月02日 09時29分55秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は「寄与分」について説明しました。

今回は「特別の寄与」について説明します。

被相続人の財産の維持・増加につき「特別の寄与」がある相続人に対し「寄与分」は認められますが、その「特別の寄与」とはどのようなものでしょうか?

具体的には

①「被相続人の事業に関する労務の提供」

典型は親の家業を手伝いその発展の貢献をした等が該当するでしょう

②「(事業に関する)財産上の給付」

たんに被相続人の事業に資金を貸し付けた場合には、法律上その返済を請求できるので当然には寄与にあたらないとされていますが、その貸付で倒産を免れ事業が再建し発展すれば該当するとされています。

③「被相続人の療養看護」

単に一生懸命世話をしたことが当然に寄与と認められる訳ではなく、少なくとも被相続人の療養看護を推定総ぞ君が行うことで被相続人の財産が減少することが保たれる程度の事情が必要となります。但し夫婦間であれば相互扶助義務があるため簡単には認められません。

④その他被相続人の財産への「特別の寄与」

等が該当します。

では「寄与分」を定める手続きはどのようになるのでしょうか?

次回以降説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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