債務整理の事案の依頼人の中にはこう言う人がいる。

「私の借金は違法な金利かもしれないが、私が借りた時はその金利で借りることに納得した(合意した)のだから、その違法な金利での借金でもそのまま支払うつもりだ」

司法書士としては、相談の現場では、
「違法な金利だから正しい金利計算をし直して、それで借金が残っていれば支払いましょうか。それがわかるまでは借金が残っているかどうかもわからないので、支払いを止めてくださいねー」と言えば一応正解になるだろうか。
私はよくそう依頼者に伝えるのだが、依頼者に釈然としない顔をされることがよくあるのだ。

違法な金利だろうと、それに合意したのだから支払うべき、というのは率直に言って説得力のある意見だと思う。
金利についての法制を知って間もない(だいたい私から聞かされた直後である)依頼者にとっては尚更であろう。
法に触れる金利だったとしても、その金利について納得した上で契約した、だから有効なのだと。「約束は約束」だ,ということであろう。

確かに近代私法の三大原則の中に私的自治の原則というものがある。
私的自治の原則で重要なものに、契約自由の原則がある。
これは契約の締結・内容・方式を国家の干渉を受けず自由にすることが出来る、という内容のものである。

国家が金利に上限を定め、規制を超える部分の金利を違法として無効とすることは、この原則に反するものということになる。
しかしながら、現行法(利息制限法をはじめとする金利規制)ではまさにそういった規制を行っている。

そこで合意について考えてみたい。
当事者間で成立した合意について,法律がその効力を否定することができるのはなぜか。あるいはできないのか。できるとすればその理由はなんなのか。

依頼人を説得するために、その理由を考えてみたいと思う。

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