この方は何処かの先生の親戚だと言いました。親戚の先生でも42筆の内の一筆だけしか相続しなかったのか、徹底してるなと思わず思いました。それで残りの41筆を相続しなければだめですよと言いましたところ、「俺は、先生の親戚だから金は払わんぞ」と言うのです。私もここで私が怒ったり、相手を怒らせては相続登記や、持分放棄をしての単独登記が出来ませんので、私も満面の笑みを浮かべて、へこへこしながら、手は揉み手をしながら、笑顔いっぱいで、「あの素晴らしい先生の親戚ですか?分かりました。あの先生の親戚ならばもらえないですよ。それでは、あなただけは、特別に無料で仕事をさせていただきます。このことは他の人には絶対秘密ですよ。」と、言いました。私のへこへこして、揉み手までしている姿を見て、この人は、私に何を言っても通ると思ったのでしょう。「単独名義にする時の費用も払わんぞ」と、続けて言いました。勿論私も満面の笑みを浮かべて「分かりました貴方だけは特別に無料でやらせて頂きます」と言いました。相続登記の書類を手に入れ早速相続登記をさせて頂きました。後から他の人から聞いた話ではこの方は金の無い人ではないと言うことでした。
この話をしたところ、共有者の中には「この人の費用は私が払うよ」と言う方がいましたが、私も司法書士のベテランですので、又、何とか本人に払ってもらうつもりでいましたから、そのお言葉をありがたく、お言葉だけ頂戴しました。

その後、最終的な単独名義にする時も、ニコニコしてこの方の時は印鑑証明書を渥美町(当時)役場から取ってもらい、ニコニコして、最後の持分放棄登記申請用委任状に実印をはっきりと押してもらい、持分放棄登記申請の時は、全員の権利書が無いので、(一部権利書があっても権利書が使えなかったものですから)ニコニコして、保証はがきに実印をはっきりと押してもらいました。
そして最後の時が来ました。この男以外の登記申請をすべて完了し、保証はがきを10枚だけ持って、この男の自宅に乗り込みました。
「いいか、ここに10枚だけ保証はがきがある。残りのはがきは事務所に隠してある。他の人の登記はすべて終ったが、あんたの登記はこのはがきを出さない限り登記は出来ないぞ。確かに相続登記は済んでおり、このまま単独名義の登記が必要ないなら相続登記の費用の65000円は踏み倒すことが出来るが、単独名義の登記はこのままだと出来ないぞ。もし単独名義の登記をあんたの親戚の先生でやるならば、これから全員の印鑑証明も取らねばならないし、中には私の味方になって出さない人もいるかもしれない。金を払いたくないなら登記はできないぞ、それでもいいのか」と強く早口で言ったところ、この話を奥で聞いていた息子さんが飛び出してきて、父親に向かって怒りながら言いました。「おやじ金を払ってやれ」
「ありがとうございます」私も思わず大きな声で言いました。
この親父にこんないい息子がいるとは思わなかった。息子さんもこの話はきっと、初耳だったと思います。こんないい息子を持ってこの親父は幸せ者だ。
次の日に、相続と今回の報酬を全部頂きました。勿論、登記済権利書を一番最初に持って行ったのは、ここの家です。

じつを言いますと、もしこの人が「そんな土地はいらないから登記などしなくてもいいわ」と言われたらどうしようかと思いました。私も人のいい男で、ボランティア精神の強い男で、人が喜ぶことが大好きな男ですので、色々悩みましたが、どうしてもお金を払わないのならやっぱりただで登記をするのかなと思いました。こんな小さな土地(191㎡)を1筆だけ残してもしょうがないからね。でも、お金を払ってくれて本当によかったです。

こんな共有地を1筆だけ残せば税務課の杉浦課長に怒られますよ。杉浦課長の口癖は「川崎さん、共有地の単独名義への登記を早くやって下さいお願いします」ですからね。つい先日にも言われました。今の時期になると固定資産税の請求先が困りますからね。でも、渥美町にはまだまだたくさんの共有地があります。あの親戚の先生が何もしなかったからです。共有者42人のうち、私が相続する人はせいぜい2人ぐらいですよ、残りの40人は可哀想ですが、あの親戚のさぶちゃん先生がするのです。これでは単独名義にするなどはできません。全員を敵に廻して登記をするなど無茶苦茶です。本当の先生はここにいるのに、口コミはああ恐ろしい、恐ろしい。
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