この話も旧渥美町役場の近くに事務所があった頃の話です。60代ぐらいの夫婦が私の事務所に来ました。夫の方は入ってくるなり「裁判するんだ、裁判するんだ」、と、怒鳴りながら入ってきました。私はてっきり自分がとんでもない間違い登記をしてしまったと思いました。昔は今のように本人確認が厳しくない時代でしたので、物件を間違って登記をしたと思いました。本人が気がついて買主に直してもらおうと行ったら断られて、登記をした私に文句を言いに来たと思いました。怒っている二人の話を聞いてると、同業者の先生の名が出てきました。そこで始めて、そうか自分が登記をしたとは限らないんだと思い、少し安心して落ち着いて聞けるようになりました。その話とは本当は自分が買った宅地なのに、二人の共有名義で登記をされたとのことです。2年ほど経ったのでそろそろ私の単独名義にして下さいと、その先生に申し出たところ、「お前たちは100回頭を下げても登記は戻らないぞ」と怒鳴られたとのことでした。困って不動産屋さんに相談に行ったら川崎に行けと言われて来たと言いました。二人が持って来た登記権利書やこの夫婦の夫が買主になっている不動産売渡証書(昭和20年頃作成)を見せてもらいました。又この登記をする時に、自宅近くの人で橋渡し役の人が中に入っており、その人と同業者の先生とが話をしてこのような登記をしたと言っていました。早い話が要するにグルじゃないか。持って来た書類を見る限りでは単独名義にするのが当然だ。まさに本人の単独名義に最初からするのが当たり前だ。私はすぐに電話機を取りこの先生に電話をしました。「今ここにSさんが来ているがいろいろと話は聞いたすぐに登記を単独名義にしてやれ。こんなことしてると首が飛ぶぞ」と、すると「ま、先生聞いてください、私の事務所に来て下さい」と、それでも一応話しを聞いてやろうとおもって行ってみたけど訳の分からぬことを言っていたので早く登記をしてやれと言って帰ってきた。夫婦が改めて同業者の先生のところ行ったら「なぜ同業者に話した」と怒鳴られたと言っていました。あんまりすごい剣幕で怒ったそうで奥さんが止めに入ったそうでした。その後登記が完了し登記料を払ってきたと言ったので、え、登記料払ったのとびっくりしました。こんなことなら私が登記をすればよかったのにと言ったら、そうですよ先生に登記料を払いたかった言われました。この件は結局ボランティアでした。そしてやっぱり貧乏神の先生でした。
この夫婦には子供がいませんでしたので遺言書をつくってもらいました。その後「先生じっちゃんが死んだ」と言って来ましたので妻に相続登記をしました。その方も2、3年前に亡くなり相続人の方(市外の方)が相続登記をするため遺言書を持って来てくれました。
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