前回から婚姻の意思について説明しています。

今回はその続きです。

婚姻の意思がないのに婚姻届を提出したいわゆる「仮装婚」、よくドラマや漫画等で出てくるこの設定は法律上の効果としてはどのようになってくるのでしょうか?

これに対する答えとしてある事件を紹介します。

この事件はジュリストという判例の雑誌の家族法判例百選の一番目に出てくる事件です。

戦後間もないころ大阪で保健所で勤務していたY女が上司の家に下宿することになり、その上司の息子Xと恋仲に陥りましたが、息子の両親に結婚を反対されてしまいました。しかしY女とXの関係は下宿先から引っ越した後も続きその間3度ほど中絶も行い4度目の妊娠でついに出産する決心をしました。Xもそれに反対するわけでなくむしろY女を応援して出産費用などを援助して、出産した子の名もXが決めました。X自身はこの時点では婚姻の意思を有していましたがその届出に至らないうちに時がたち、Xに別の女性との結婚話が出てきて式の日取りまでも決まってしまいました。そこでXはY女との関係を清算するためY女の親族を交え話し合いを行ったところY女からせめて子の身分が非嫡出子のままでは不憫なので、一旦Y女との婚姻届を提出して子を嫡出子にしてからすぐに離婚届を提出するのでそうしてくれないかと頼み、しぶしぶXもそれを飲みました。しかしY女は婚姻届を提出しても離婚届は一向に提出しないのでXからYとの婚姻は無効であるとの裁判が提訴されてしましました。

心情的にはY女の見方をしたくなるこの事件、法律上効果はどうなるのでしょうか?

次回説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



藤原司法書士事務所

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