2011年 11月の記事一覧

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11年11月15日 08時58分29秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は遺言の全体像について説明しました。

今回は「自筆証書遺言」について説明します。

この遺言は満15歳以上で意思能力があれば誰でも簡単に作成することができます。

まず遺言者がその全文、日付、氏名を「自筆」し「押印」するだけで完成します。が手軽さが故に紛失偽造変造の危険もあり、さらに方式を間違えると遺言書そのものが無効になってしまう可能性を潜んでいます。

では無効となってしまう可能性とはどのようなものでしょうか?

「自筆」と呼ばれるとおり、PCで作成したものは効力を持ちませんが、他方手が震えるなどの理由により他人の助けを借りて(手を添えるなど)運筆したものはそれだけでは自筆能力は否定されません(最判昭和62.10.8)。またカーボン複写の方法による遺言も有効とされています。

次に「押印」ですが印鑑は実印に限られませんし、拇印でも構わないとされています。押印の場所には限定はありません。

最後に「日付」ですが、この日付は特定できる日でなければなりません。その理由として遺言は後から作成した遺言により前の遺言の内容を撤回できるからで、作成の前後が明らかでなければ紛争の火種となってしまうからです。具体的には「還暦の日」は日付を特定できますが「平成○○年1月吉日」は日付を特定できないとして無効となります。

他にも遺言は共同遺言を禁止していますので、例えば夫婦が子供に対して共同で作成した遺言は無効となってしまいます。

また、不動産に関して遺言を作成する場合住居表示と地番が異なっていることも多いのでその遺言書で登記をすることが多少困難になってしまう場合とかもあります。

自筆証書遺言を作成する場合には我々司法書士等の専門家に相談されることをお勧めします。

次回は「公正証書遺言」について説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



藤原司法書士事務所

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11年11月14日 08時36分31秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は遺族年金における「死亡の推定」の制度について説明しました。

今回から数回に分けて「遺言」の制度について説明します。

「遺言」とは被相続人の意思を死亡後に遺族に伝える書面のことですが、遺言に法律効果を持たせるにはかなり厳格な方式に乗っ取らなければなりません。

まず大きく分けて2つの種類に分かれます。

一つ目は「普通方式遺言」と呼ばれるもので、さらに3つの種類に分けることができます。

二つ目は「特別方式遺言」と呼ばれるもので緊急に死が差し迫った場合に普通遺言でをする余裕がないときに特別の方式を行うこと下遺言と認めるものです。

さて、「普通方式遺言」には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類あります。

次回は「自筆証書遺言」について説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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11年11月13日 09時01分55秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は法律上死亡と同じ効果を持つ「失踪宣告」について説明しまた。

今回は遺族年金における死亡の推定と失踪宣告の比較を説明します。

遺族年金には「死亡の推定」の規定があります。具体的には、

船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となった際現にその船舶に乗っていた労働者若しくは船舶に乗っていてその船舶の航行中に行方不明となった労働者の生死が3箇月間わからない場合又はこれらの労働者の死亡が3箇月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期がわからない場合には、遺族補償給付、葬祭料、遺族給付及び葬祭給付の支給に関する規定の適用については、その船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となった日又は労働者が行方不明となった日に、当該労働者は、死亡したものと推定する

といった規定です。

失踪宣告と異なる点として

1、死亡は「推定」であって「見做す」わけではない、つまり「推定」が覆ればその覆った事実に基づいて改めて法律上の処理がなされます。(失踪宣告のように家裁の取り消し等は必要なし)

2、「推定」の時期は失踪宣告より短く3か月である、これは遺族年金は死亡した方の稼得能力のてん補であるのでできるだけ早く法律関係を処理するためのものです。

さらに船員保険の場合行方不明手当と言うものもあり職務上の事由により行方不明になった場合その3か月間についても手当が支給されるなど手厚い保護があります。

今回はここまでです。

次回は被相続人が相続分を指定できる「遺言」について説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。




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11年11月12日 09時34分43秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は法定相続分について説明しました。

今回は「失踪宣告」について説明します。

「失踪宣告」とは、被相続人が生死不明(行方不明では足りません)になった場合、その期間がある一定期間を経過すると利害関係人の申し立てにより家庭裁判所が「失踪の宣告」を行うことで被相続人の「死亡」と同様の法律効果を発生させる制度となります。この失踪宣告は2つのパターンがあります。

まず「普通の失踪宣告」から説明します。

失踪者の生死が7年間不明である時、利害関係人の申し立てにより家裁にて失踪宣告をすることができ、その効力は失踪期間の満了時、つまり生死不明となってから7年目満了時に効力が発生します。つまり失踪者が死亡したものと「見做され」ます。(相続が発生します)

次に「特別失踪制度」について説明します。

これは戦争時や航空機船舶等の墜落等の事故、今回の東日本大震災等の災害において危難にあったものが生死不明である場合、戦争終結時や航空機等の墜落時等その他危難が去ってから1年が経過した場合に同じく利害関係人が申し立てることでその「危難が去ったとき」に遡り死亡したものと「見做す」制度です。(但し今回の大震災に関しては期間の短縮が認められている模様)効力は普通失踪と変わりません。

仮に失踪宣告を受けたものが生きていることが明らかとなってもすぐには失踪者の死亡認定は回復せず、本人または利害関係人が家裁に申し立てて失踪宣告の取り消しを行わなければ、失踪者は法律上は死亡したままとなってしまいます。

遺族年金にはこの「特別失踪」について似た制度を設けています。

次回はそれについて説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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11年11月11日 09時03分44秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は法定相続分について説明しました。

今回はその続きです。

仮にAとBが婚姻関係にあったとします。AとBは婚姻関係は良好だったものの子はできませんでした。そこでBの親戚筋から甲をAおよびBの養子にしたとします。ところでAはBに秘密でCと不倫関係にあった時期があり、Cとの間に子乙が生まれたとします。(Aの認知済み)

さて、この場合Aの推定相続人たる甲乙の相続分はどうなるでしょうか?(分かりやすくするためBは先に死亡していると仮定します)

この場合、民法の規定上甲は「嫡出子」となり、乙は「非嫡出子」となりますので本来Aの実子である乙より甲の方が優先され乙と甲の割合は1:2となります。

この「非嫡出子」が「嫡出子」より相続分が少ないことが憲法で規定されている平等の検束に反するのではないかとして何度か裁判になりましたが、最高裁は「合憲」であると判断されていましたが(最(大)判平成7年7・5)先日大阪高裁で違憲であるとの判断がなされ特別抗告をしなかったのでその決定が確定しました。(http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111004/trl11100411530002-n1.htm  ※リンク切れの可能性あり)

今後、この高裁判決がどのように影響してくるか注目されます。

次回は法律上の死亡認定である「失踪宣告」を説明したいと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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11年11月10日 09時10分46秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は遺族年金の転給制度について説明しました。

今回は法定相続分について説明します。

被相続人が遺言で特に指定していなければ、相続人の相続分は民法に規定されている相続分となります。

具台的には第一位順位者である子が相続人の場合、被相続人に配偶者がいれば配偶者と子の相続分は1/2ずつになり1/2を子の数で原則割ることになります。相続人が第二順位である直系尊属であれば配偶者との割合は配偶者が2/3、直系尊属が1/3となり直系尊属の人数で割ることになります。(但し直系尊属は直近の尊属に限る)相続人が兄弟姉妹である場合、配偶者との割合は配偶者が3/4、兄弟姉妹は1/4となり原則兄弟姉妹の人数で割ることになります。

さて、上記の説明で「原則」という言葉を使った部分があります。

「原則」という言葉を使う場合には「例外」が存在するので「原則」と言う言葉を使います。

まず兄弟姉妹から説明します。

兄弟姉妹が相続人になる場合、必ずしも同父同母の兄弟であるとは限らない場合があります。異父兄弟や異母兄弟が当たります。この場合同父同母の兄弟と異父異母兄弟(これを半血兄弟と呼びます)では相続分が異なり同血兄弟と半血兄弟は2:1の割合になります。つまり半血兄弟は同血兄弟の半分しか相続分がないことになります。

次に子の割合について説明します。

実は「子」についても2種類の概念が存在します。

法定婚姻関係から生まれた子については「嫡出子」それ以外であれば「非嫡出子」と呼ばれるものです。

仮にAとBが婚姻関係にあったとします。AとBは婚姻関係は良好だったものの子はできませんでした。そこでBの親戚筋から甲をAおよびBの養子にしたとします。ところでAはBに秘密でCと不倫関係にあった時期があり、Cとの間に子乙が生まれたとします。(Aの認知済み)

さて、この場合Aの推定相続人たる甲乙の相続分はどうなるでしょうか?(分かりやすくするためBは先に死亡していると仮定します)

次回説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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11年11月09日 09時18分03秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は代襲相続について説明しました。

今回は遺族年金の「転給」の制度について説明します。

「転給」の制度は労災保険独特の制度で国民年金や厚生年金にはない制度です。

具体的には労災事故が起きた時に被災労働者と生計維持関係にある一定の遺族には受給「資格」が発生します。その受給資格を持つ最先順位の受給資格者が受給権者となり、受給資格を持つ遺族の人数により支給される額が変化します。受給の順位は配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順ですが年齢や性別(配偶者のみ)よっても異なる場合があります。

「転給」はその最先順位者が何らかの事由で受給権を失った場合、次順位者へ受給権が移転する制度です。

労災は仕事を原因として被災した労働者に対し保険給付を行う制度で、事業主に国が強制加入させますのでかなり手厚い保護を行います。

ちなみに被災労働者の遺族が1人なら給付基礎日額(大体一日分の賃金と考えてください)153日分、2人なら201日分、3人なら223日分、4人以上なら245日分となります。一年が365日ですので休日を120日と考えるなら差し引き245日となりますので4人以上の遺族にはほぼ被災労働者の稼得能力をほぼ補てんする形になるといえるでしょう。

次回は法定相続における相続分について説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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11年11月08日 08時29分33秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は相続における「代襲」制度について説明しました。

今回はその続きです。

さて、被相続人AにはB,C,Dの三人の子供がいてそのうちBはAより先に死亡しており、Bの子供甲乙のうち甲をAの養子にしていた場合、相続はどのようになるのか?

この場合、Aの子として亡B,C,D、甲となりますがBは死亡していますので代襲相続人たる甲乙がBの相続分を取得します。そうなると甲は二重の資格でAを相続することになります。(Aの子たる相続人及び亡Bの代襲相続人として)

具体的にはAに配偶者がいないことを前提として、各亡B、C,、D、甲の法定相続分は1/4づつ、亡Bを代襲するので甲乙の代襲相続分は1/8となり、結果として甲は3/8を相続することになります。

このように養子縁組を利用して相続財産を集中させることが可能になります。(但し税法は別)

ちなみに遺族年金も養子は遺族の範囲内に入っています。(ある意味当然ですが)

但し養子縁組の制度は婚姻と異なり相手方の死亡後に離縁することも可能ですので、その場合は遺族年金の受給権の喪失事由となります。

次回は遺族年金における「転給」制度について説明したいと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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11年11月07日 08時54分51秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は遺族年金における遺族の地位や年齢性別で受給権が異なることを説明しました。

今回は代襲について説明します。

相続には「代襲」と呼ばれる制度があります。

例えば被相続人のAさんにはB,C,Dの子がいたとします。

しかし不幸にもBさんはAさんより早くなくなってしまいましたが、Bさんには甲、乙の子がいました。(Aからすれば孫)

さて、この場合民法において第一位の相続権は「子」でありますので(配偶者は考慮しない)Aの相続人はC,Dとなりますが、Bはすでに死亡してますので相続人にはなりません。とするとBが生きていれば1/3の法定相続分があり、その分をいずれ受け取れるはずの甲乙はAの孫であるにもかかわらずAの相続に関して相続権がないことになります。これでは不公平でないでしょうか?

そこで民法には先に死亡した推定相続人に子がいる場合、その死亡した推定相続人に代わって相続人と認める制度を設けました。これを「代襲」と呼びます。(但し代襲者は被相続人(A)の直系卑属(法定血縁関係)がなければなりません)

この制度は、推定相続人が先に死亡した他、相続の欠格や廃除でも認められますが、相続放棄では認められません。

ところで日本の民法は養子制度が諸外国に比べ非常に寛容であるといわれています。

つまり当事者の意思が合致し役所に届ければ養子縁組が成立します。

しかも血縁関係にある者同士でも養子縁組は可能です。具体的には兄が弟妹を養子することも可能です(逆は不可)そして養子にすれば、養子は法律上の「子」ですので当然第一位の相続権を持ちます。

では仮に冒頭のAの相続に関しAが甲を養子にしていた場合、相続はどうなるでしょうか?

次回以降説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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11年11月06日 09時33分06秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は被相続人の意思による相続資格の剥奪「廃除」の手続きを説明しました。

今回は遺族年金の受給権消滅自由について説明します。

ちなみに「廃除」は被相続人の意思によって撤回も可能です(但し家裁への申し立てが必要)。



遺族年金は亡くなられた方の収入によって生活していた一定の遺族についての生活費の補てんが主な目的です。そのため、亡くなられた方が死亡しなければ同様の生活をしていただろうという形が必要になります。つまり、配偶者に関しては再婚(事実婚も含む)が受給権の消滅自由ですし、子・孫については高校卒業年度末の年齢に達すれば(但し一定障害を持つ場合を除く)受給権の消滅自由です(さらに婚姻をすると消滅します)。さらに父母、祖父母については亡くなられた方の死亡時に一定の年齢に達していなければ受給権そのものが発生しません。また、同じ配偶者でも「夫」と「妻」ではかなり取り扱いが異なります。まず「妻」に関してはほとんど制限がありません(但し子のいない若年の妻には遺族基礎年金は一定期間しか受給されない)が、「夫」に関しては労災・厚生年金の遺族年金は父母等と同様一定年齢でなければ受給権が発生していませんし、遺族基礎年金に関しては遺族の範囲外となっています。つまり「夫」は、現役世代なら補てんは必要ないだろうとの考えらしいですがかなり現状との違和感を感じます。

実際にこの夫妻との差が憲法違反にあたるとして先月大阪地裁で提訴されました。

(http://mainichi.jp/kansai/news/20111020ddn041040021000c.html  ※リンク切れの可能性もあり)

私の私見ですがおそらく憲法違反と判断される可能性はあると思います。今後も注目です。

もちろん相続に関して遺族年金のように年齢や性別により相続権が変化することはありません。

次回は代襲と転給の違いを説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



藤原司法書士事務所

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☎099-837-0440
11年11月05日 10時49分06秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は相続人の欠格事由について説明しました。

今回は被相続人の遺志で相続人の相続の資格を奪う制度「廃除」について説明します。

推定相続人が被相続人に対して生前虐待や重大な侮辱を加える又は推定相続人に著しい非行があったとき家庭裁判所に申し立てることで相続資格を奪うことができます(民892 尚遺言でも可 民893)

相続人に対する虐待や重大な侮辱はなんとなくわかりますが、著しい非行とはどのような行為が該当するでしょうか?

判例では被相続人に対して著しい非行がある程度財産的・精神的苦痛を与える程度のものでなければならないとされています。具体的には被相続人が支配していた同族会社で推定相続人が犯した業務上横領は著しい非行に該当せず(東京高判昭和59・10・18)、その反面小学高の時から非行に走り少年院にも入った娘が暴力団の男と婚姻しその結婚披露宴の招待状に父の名をその男の父と連名で知人等に送付した(父は会社経営者で社会的地位もありかつ結婚に反対していた)ことを著しい非行があったと認定した事件(東京高判平成4・12・11)があります。

当然遺族年金にこのような制度はありません。

次回は遺族年金の受給消滅自由を説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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11年11月04日 08時57分17秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は相続人の欠格事由について説明しました。

今回はその続きです。

相続人の欠格事由の一つである「故意」に死亡させたとはどういう意味か?

故意=殺意であるとされています。

ですので、例えば傷害致死であれば欠格事由には該当しないが、殺人「未遂」なら欠格事由に該当してしまいます。

例えば子が父を殺害した場合子は父だけでなく母の相続権も喪失します。なぜなら母の相続に関して子は父と同順位であるからです。

また遺族年金にも故意に死亡させたら欠格事由に該当する条文があり、その点では相続人と共通します。(但し未遂までは含まれず)

ちなみに「宥恕」(被相続人の遺志により欠格事由に該当しても欠格事由を免除すること)は認められないとされていましたが、最近家庭裁判所の判断で宥恕を認める審判が出ました。(広島家呉支審平成22・10・5)今後も注目を集める審判だと思います。

次回は相続人の遺志により相続人を外すことができることについて説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



藤原司法書士事務所

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☎099-837-0440
11年11月03日 13時17分38秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は相続放棄した遺族も遺族年金の受給権とは無関係であることを説明しました。

今回は相続人の欠格事由を説明します。相続人には(正確に言えば推定相続人ですが)相続人の範囲に属していても社会正義上の制裁として相続の資格を強制的に剥奪する制度があります。

具体的には

①「故意」に被相続人または相続について先順位または同順位にあるものを死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処された者

②被相続人の殺害されたことを知ってこれを告発せず、又は告訴しなかった者。(後段省略)

③詐欺または強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、または変更することをさまたげた者

④詐欺または強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、または変更させた者

⑤相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

となっています(民891)

どれも社会正義上被相続人の財産を承継することに抵抗があるといえるでしょう。(但し⑤については隠匿等の行為が相続に関して不当であると認められなければ(逆を言えば自分の取り分を増やす等の行為でなければ)欠格事由には該当しません 最判平成9・1・28)

ところで①にある「故意」とはどういう意味でしょうか?

それは次回説明します。

ここまで読んでくださりありがとうございます。



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11年11月02日 08時34分02秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は遺族と相続人の範囲の違いを説明しました。

では、前回の続きから説明します。

相続放棄した遺族が遺族年金の受給権者になれるか?

結論から言えば受給権者になれます。

なぜなら、相続人と遺族の概念は別のものであるからです。

相続人は被相続人の権利義務を承継する資格で

遺族年金は亡くなられた方の所得保障であるからです。(遺族年金の欠格事由となっていない)

また、前回も説明したとおり範囲もかなり異なります。

このように遺族と相続人はかなり異なることが認識できます。


次回は相続人の欠格事由について説明したいと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


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11年11月01日 09時45分52秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は、相続人は相続放棄ができるため必ずしも相続人がいないことが遺族がいないことには繋がらないことを説明しました。

今回は「遺族」が法定されていることについて説明します。

一般的に遺族の定義として「死んだ人のあとに残された家族・親族。」(出典大辞泉)となっていますが、法律で定義づけられている場合があります。

それは、「遺族年金」で定義づけられえている場合です。

例えばもっとも広い定義を持つ労災保険では配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹となります。この範囲は相続人の範囲と異なります、相続人との最大の違いは事実婚配偶者(事実上婚姻関係と認められる実態があるけれど婚姻届を提出していない関係にあること)を遺族と認めている点が異なります。(但し法律婚配偶者がいる場合を除く)民法上では事実婚配偶者は相続人にはなれませんが(最高裁で否定 最判平成12.3.10)遺族年金の支給対象者にはなれます。その意味では社会保障年金はより実態に即しているともいえます。

また遺族年金はその性格上遺族の範囲が異なります。国民年金は子の養育費的な要素を持っていますので(支給対象は子がいることが前提)遺族の範囲は妻(夫は不可)および子です。厚生年金は兄弟姉妹を除いた遺族が範囲となります。

では、例えばある方が亡くなられた場合、その遺族が仮に遺族年金の支給対象の遺族だったとします。しかし相続に関しては借金がかなりあったので相続放棄をしたとします。その支給対象遺族は遺族年金は受け取れるのでしょうか?

次回以降説明します。

今回もここまで読んでくださりありがとうございます。



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