2015年 5月の記事一覧

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15年05月31日 11時54分32秒
Posted by: shinmachi

今回は売買決済当日の流れを司法書士の観点から記載します。
売買決済とはお店で品物を購入(売買)するのと同じことですが、
その品物が「不動産」の場合ということです。つまり買う側は代金を支払い、
売る側は品物である「不動産」を買った人に渡します。ただし不動産自体は
動かせないので、その所有権を渡すことになります。そして買う人が
確定的に所有権を取得するには名義変更(登記)をする必要があるので、
売る側は名義変更(登記)に必要な書類を渡すことになります。

決済には司法書士が立会いますので上記の登記に必要な書類がそろって
いるかは司法書士が確認します。権利書の確認、登記委任状に押印などを
していただきます。この登記書類の確認作業は決済の最初に行います。
登記書類がそろっていないと確定的に所有権を取得できないことになるので、
買主は売買代金を支払えません。そのため司法書士が問題無いと判断して
から代金を支払います。(住宅ローンを利用する場合はローンを実行します。)

上記の司法書士による確認後にその「不動産」の引渡しに必要なその他の
作業を行います。不動産会社の書類に記入・カギの引渡し・新しい権利書の
送付先の確認などです。住宅ローンを利用する場合はローンの実行・仲介
手数料や登記費用の現金引き出し等お金の処理に時間がかかるので、
その間に上記の作業を行います。銀行の込み具合にもよりますが、通常は
銀行の処理よりも作業のほうが早く終わり、少し待ち時間があります。

決済当日の拘束時間ですが、上記のように住宅ローンを利用する場合は
銀行の混雑状況によりますが、だいだい1時間くらいはかかります。月末等
の集中している日は1時間半~2時間くらいかかることもあります。(※私の
最長は約3時間です。)また担保の抹消登記を同時に申請する場合は、売主
の方はその後さらに拘束されることもありますが、それは別に説明します。

15年05月24日 11時38分21秒
Posted by: shinmachi

相続登記には特に期限がありませんので、名義を変更しないまましばらく
放置してしまうケースもあります。その間に今度は相続人が亡くなってし
まい被相続人が2名になることもあります。最も多いのが父(母)が亡くな
り、相続登記をしていない間に今度は母(父)が亡くなってしまう場合です。
今回はこの両親ともに死亡した場合の相続登記について記載します。

例として土地の名義が父親で、父親の相続人は妻(母親)・子A・子B。
父親死亡後に、相続登記未了のまま今度は母親が亡くなってしまい、
父親死亡後から母親が亡くなるまでの間に父親の相続財産である土地
について母親・子A・子Bで遺産分割協議をしていなかったケースで
説明します。(母親の相続人も子A・子Bのみ)

上記のようなケースでA・Bが話し合って土地はAが相続することにした
ので名義を変更したいというのが依頼としてよくあります。、この場合
父親名義からA名義に直接登記を申請できるのかという問題がありますが、
それは可能です。父親の遺産を分割をする権利はその相続人である3名
(母親・子A・子B)にあります。その後に母親が死亡したことによって
母親がもっていた父親の遺産を分割する権利(父親の相続人たる地位)
が今度は母親の相続人である2名(子A・子B)に相続されます。
父親と母親の相続人であるA・Bが父親及び母親両方の遺産分割をする
ことによって土地の所有権は父親からAに移転をするということになります。

上記の相続登記をする際は以下の2点に注意が必要です。
①被相続人父親の出生から死亡までの戸籍謄本と合わせて母親の出生
 から死亡までの戸籍謄本を添付する必要がある。
 (父親の相続人だけでなく母親の相続人も特定する必要があるため)
②遺産分割協議書には父親の相続分だけではなく母親の相続分も合わせて
  分割協議をした記載をする必要がある。

15年05月09日 12時16分45秒
Posted by: shinmachi

不動産登記は法務局に申請しますが、土地の場所ごとに法務局の管轄
が決まっています。市や区ごとで分けられていますので、境目付近では
すぐ近くの土地なのに別々の法務局に申請する必要があるケースも
ありえます。もし管轄違いの法務局に申請するとその登記は却下になり
ますので管轄の確認はかなり重要です。

法務局の管轄の確認方法は以下のようになります。
①法務局のホームページを閲覧
②登記事項証明書(登記簿謄本)の管轄法務局の記載
③権利書(登記識別情報)の管轄法務局の記載

②・③の方法は古いものの場合法務局の統廃合によって現在の管轄と
異なる場合がありますので注意が必要です。不安な場合は直接法務局
に電話等で確認するのも有効な方法です。

相続登記で自宅と実家の不動産が対象になるケースがときどきあります。
自宅と実家の管轄が異なる場合、当然それぞれ登記を申請することに
なりますが、基本的に同時に申請することはできません。というのは
相続登記には被相続人の戸籍謄本や遺産分割協議書等を添付しますが
書類の原本を提出する必要があります。原本還付(原本を返却してもらう
手続き)をしますが、一方の法務局の処理が終わらないと書類が戻って
こないので他方に申請するとこはできません。法務局の処理の期間が
ありますので、このような場合は全部の完了までにどうしても時間がかか
ることになります。

上記のような場合は最初に時間がかかることを説明して、急ぎの事情
があればその管轄分から申請する、または同時に申請できるように
原本を管轄分の部数用意するなどの対応します。

15年05月03日 11時35分31秒
Posted by: shinmachi

土地を先行して購入して住宅ローンを利用している場合、通常建物を新築
した際は建物に所有権保存+抵当権追加設定の登記をします。

では土地については登記は必要ないのでしょうか。
下記の2つが考えられます。

①土地の所有者(甲区)の住所変更
 土地を先行して購入した際は前の住所で登記をしていますので、この
 住所を新しい住所に変更する所有権登記名義人住所変更登記が考え
 られます。この登記をしなくても所有権保存+抵当権追加設定の登記
 は申請できますが、銀行の融資条件として登記が必要になることがあり
 ますので、必ず金融機関等に確認をします。

②土地の抵当権の債務者の住所(乙区)の変更
 土地を先行して購入した際は前の住所で登記をしていますので、土地
 抵当権の債務者の住所を新しい住所に変更する抵当権変更登記が考え
 られます。根抵当権の違い抵当権の場合はこの登記をしなくても抵当権
 追加設定の登記は申請できますが、銀行の融資条件として登記が必要
 になることがありますので、必ず金融機関等に確認をします。
 この登記には土地の権利書(登記識別情報)が必要になりますが、銀行
 が印鑑証明書等の書類と合わせて預かってはくれるケースは少ないです。
 (銀行の内部規定で預かりが不可になっているところが多い)
 そのため土地の権利書(登記識別情報)については金消契約時に同席する
 または事務所にご来所いたただくなどの方法で直接お預かりします。

銀行に確認して必要なければ所有権保存+抵当権追加設定のみ申請する
場合もありますし、もし金融機関等に確認をして上記2つとも融資条件として
必要な場合は①甲区住所変更②乙区抵当権変更③保存④追加設定の4件
を建物新築時に申請することになります。
 

15年05月02日 12時44分19秒
Posted by: shinmachi

住宅ローンを利用する場合の担保として物件に抵当権を設定します。
そして今ある抵当権の担保物件を新たに追加することを抵当権の追加
設定と言います。具体的には現在A土地、B土地が担保になっている
抵当権にC土地を新たに担保として追加します。その結果この抵当権の
効力はA・B・Cの土地に及ぶことになります。

実務でこの抵当権の追加設定をする場合、最も多いケースが先行して
土地を購入してその時点で土地に抵当権を設定して、その後その土地
上に建物を新築して、その建物を土地についている抵当権の担保に新たに
追加する場合です。その結果抵当権の効力は土地建物全部に及ぶこと
になります。

この抵当権の追加設定ですが、登記の必要書類はほぼ通常の抵当権と
同じです。ただ、登録免許税ですが以前に抵当権をすでに設定している
証明書(具体的には抵当権が設定されていることが確認できる登記事項
証明書。前登記証明書と言います)を添付すれば1500円(不動産1個)
になります。添付しない場合との差額が大きいので実務では必ず添付
します。(既存物件と追加物件の管轄が同じ場合は添付省略可能)

既存の抵当権に担保を追加するので、追加する抵当権の内容は既存の
ものと同じ必要があります。ただし同一性が認められればある程度の違い
は許容されます。実務で多いケースが債務者の住所の表示です。
上記のケースでは土地を購入した時点では前の住所で、建物を新築して
入居したあとは新住所に住所移転します。そうすると既存の抵当権の
債務者の住所(旧住所)とこれから申請する抵当権の追加設定の債務者
住所(新住所)が異なる場合があります。この場合は既存抵当権の債務者
の住所を変更しなくても、そのまま新住所で抵当権の追加設定登記の
申請は可能です。

なお根抵当権(一定の取引における債務を担保する等の枠支配権)の場合
は、抵当権とは異なり債務者の住所が違う場合は追加設定はできませんの
でご注意下さい。

15年05月01日 15時24分49秒
Posted by: shinmachi

所有権移転(名義変更)の登録免許税の計算は
固定資産評価証明書の評価額が基準になります。

例えば土地の所有権移転(相続)の場合
土地の評価額が10,000,000円とすると
下記のように計算します。

10,000,000円×4/1000=40,000円です。
※相続の登録免許税の税率は4/1000

この評価証明書についての注意点を記載します。

①有効期間は1年間(4月1日→3月31日)
  評価証明書は4月1日に年度が切り替わります。登記には最新の年度
  のものが必要になります。例えば平成26年3月30日に取得した評価
  証明書は平成27年4月2日の登記申請には使用できません。

②所有者以外が取得するには所有者との関係を証明する書類が必要
  評価証明書は市役所等で取得します。原則土地建物の所有者から
  取得請求をするものです。所有者以外が取得する場合は所有者から
  の委任状、所有者が亡くなっている場合は所有者死亡の記載のある
  除籍謄本・相続人であることを証明する戸籍謄本等が必要になります。
  ※土地建物の所在が藤沢市の場合は場合は市民センター、茅ヶ崎市
    の場合は出張所でも取得できます。

③道路部分の計算は近傍宅地単価が必要
  証明書の道路部分の評価額が「0円」でも登録免許税は課税されます。
  この場合「近傍宅地単価」を使って計算しますので、宅地単価記載のある
  評価証明書を取得する必要があります。計算式は次のようになります。

  公衆用道路=近傍宅地単価×30/100×面積

  上記計算後の額を道路部分の評価額として登録免許税を計算します。

なお司法書士が職権で評価額のみ記載された評価通知書(評価証明書
ではない。登記専用)を取得する場合もあります。まず法務局で所定の
書類に認証印を受けて、それから役所等で取得します。この場合下記
のような特徴があります。
①基本的に原本還付ができない。(登記後原本が戻ってこない)
②遠方の不動産の登記をする場合不向き。 
 (委任状で郵送取得するほうが早い)
③取得できる場所に制約がある。
 (藤沢市の場合評価証明書は市民センターで取得できるが、上記の評価
  通知書は市役所本館でなければ取得できない。)
④依頼を受けてない状態では取得不可。
 (上記は登記を申請することが前提なので、依頼を受任していることが
  必要です。まず見積書を作成してそれを検討してから依頼をしたいと
  いう場合は取得できません。)

売買決済等の場合は評価証明書はだいだい業者が取得をしますし、
遠方不動産の相続案件などは委任状で郵送請求をしますので、
当事務所の場合下記の方法はそれほど多く利用してないのが現状です。

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