過払い金返還請求権は債権であって、10年の消滅時効にかかります。では、いつから10年で時効になるのか?

これは、継続的な取引が継続している間は時効が進行せず、取引終了時から時効が進行するという説が有力でした。

しかし、最高裁の判例があるというわけではなかったため、過払いが発生した時から時効が進行するという説もあり、消費者金融によってはこれによって過払い金を少なく計算して支払いを拒むケースがありました。12月16日の記事でも紹介したとおり、アコムやシンキからそのような主張がよくなされるようになりました。

今回、この件に関して最高裁が初めて判断をしました。最高裁は、「継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約が,利息制限法所定の制限を超える利息の弁済により発生した過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含む場合には,上記取引により生じた過払金返還請求権の消滅時効は,特段の事情がない限り,上記取引が終了した時から進行する」と判示しました。つまり、取引終了時説を採用しました。

これで、取引が終了するまでは時効が進行しないという従来の有力な考え方に最高裁のお墨付きがなされたことになります。理論的にも、継続的な取引の間は貸付と返済が個別の対応関係にない以上、時効の進行については個別に考えるというのはおかしいと思いますので、今回の最高裁の考え方が素直な考え方であると思います。