最近、ちょっとややこしいテーマばかりになってしまっていましたので、基本に立ち返って、今回は、債務整理手続きの種類と選択方法について解説します。

消費者金融やクレジットカードのキャッシング、銀行カードローンなどの借金がかさんで支払が苦しい状況に陥ったときの解決策、債務整理にはいくつか手続きの種類がありますが、それぞれどのような人がどの手続きに適しているのでしょうか。


1. 債務整理の手続きの種類は4種類

債務整理には、任意整理、特定調停、個人再生、自己破産の4種類の手続きがあります。この中で、特定調停は手間がかかる割にメリットが少なく、それほど多く利用されていませんので、ここでは残りの3つの手続きについて主に解説します。

まず、任意整理は、債権者と直接交渉をして、借金返済額や分割払いによる返済方法を決定し、裁判外で合意する手続きです。 次に、個人再生は、裁判所に申し立てて借金額を大幅に減額してもらい、それを原則3年間の期間内に返済していく手続きです。 そして、自己破産は、裁判所に申し立てて免責決定を出してもらうことにより、借金返済義務を完全に0にしてもらう手続きです。これらの方法はそれぞれ特徴があり、状況に応じて、最適な手続きを選ぶ必要があります。


2. 借入額が少なかったり保証人がついている場合は任意整理がおすすめ

上記3つの債務整理手続きの中で、任意整理に向いている人は、借金の金額が少なめの人です。 任意整理では、利息制限法を超えた利率での取引がないと、借金の返済金額そのものを減額することが難しいからです。 多額の借金が残ってしまう場合には、長期分割返済しても支払は困難になります。

また、保証人がついている借金がある人にも任意整理はおすすめです。 任意整理は、他の2つの手続きと異なり、整理対象とする債権者を選ぶことが出来ます。 保証人のついた借金を外して、他の借金だけを任意整理すれば、保証人に迷惑をかけることなく借金の整理が出来ます。

このように、任意整理手続きは借金額がそれほど大きくない人や、保証人がついている借金がある人に向いています。


3. 借入額が大きく、住宅ローン支払い中であれば個人再生がおすすめ

個人再生は、借入額がそれなりに多い人におすすめです。 個人再生手続きを利用すると、借金額が最大5分の1まで減額可能です。 たとえば財産が100万円以下の人の場合、基本的に500万円の借金があっても返済額を100万円にまで減額できることになります。 よって、かなり大きな借金があっても個人再生なら対応可能です。

また、個人再生の場合、住宅資金特別条項と言って、住宅ローン支払い中の人は住宅ローンだけはそのまま支払を継続して自宅を守り、その他の借金だけを減額できるというメリットもあります。

よって、個人再生は借金額が大きい人(任意整理では整理仕切れない人)や住宅ローンがあって自宅を守りたい人におすすめの手続きです。


4. 財産が無く支払能力が低い場合は自己破産がおすすめ

債務整理の中でも自己破産は、借金の支払い義務を完全に0にしてもらえる手続きです。 よって、自己破産に向いている人とは、借金額が多額で到底返済していけない人や、借金が少額であってもまったくまたはほとんど返済能力の無い人などです。

また、自己破産をすると生活に最低限必要な財産以外の財産はすべて管財人の管理下におかれ、現金に換えられて債権者に配当されてしまいます。 よって、失う財産がない人も、自己破産に向いています。逆に、まとまった預貯金や保険、不動産などを守りたい場合には自己破産は向きません。

以上より、自己破産手続きは、借金が多額であったり支払能力がなかったり、財産がない人に向いています。


まとめ

債務整理には任意整理、個人再生、特定調停、自己破産の手続きの種類があります。任意整理は借金額が少なかったり保証人がついている借金がある場合、個人再生は借金額が大きく自宅を守りたい場合、自己破産は借金額が大きかったり支払能力がない場合、守るべき財産がない場合などに向いています。

ただし、これらはあくまでも一般論です。具体的に、どのような手続きを選択すべきかは、債務の状況・家計の状況・資産の状況・借り入れが増えた経緯などから総合的に判断する必要があります。手続きの選択に困ったら、お近くの司法書士または弁護士にご相談されることをお勧めします。