司法書士のもっともオーソドックスな仕事の一つに不動産の相続登記があります。
人は通常財産を持っています。
日本の法律では、財産を持つ(所有)することは「人」しかできません。
人には自然人と法人がありますが、それは別の機会に書くとして、この「人」が死んでしまうと、生きていない人は法律上の人ではなくなりますから、死んだ瞬間に別の生きている人に財産が引き継がれることになります。これが「相続」というやつです。

ここまでは前置きでして、この相続の手続を「名義」という概念のある財産に関して行うには、財産を引き継ぐ権利のある人(相続人)が誰かを証明するために、戸籍という書類を集める必要があります。

相続人と相続分については義務教育でも亡くなった人(被相続人)の配偶者(妻や夫)が半分、残り半分を子供が頭割りで相続するくらいは習ったと思います。
これを戸籍で証明しようとすれば、まず被相続人の死んだ時の戸籍謄本(配偶者が健在な場合には配偶者の戸籍謄本を兼ねられます)、そして相続人は死んだ瞬間に生きている人である必要がありますから配偶者や子供達の現在の戸籍謄本が必要です。
しかしこれだけでは足りません。
死んだことと、配偶者であること或いは子供であること、そしてその方々が生きていることの他に、被相続人には他には子供がいないことを証明しないといけません。つまり被相続人が生まれてから無くなるまでの全ての戸籍が必要になるわけです。
「戸籍謄本に全部書いてるんじゃないの?」と思われるかも知れませんが、じつは戸籍謄本というのはその戸籍が作られた当時に同じ戸籍に入るべき人しか書かれていません。

どういう事かというと、現在のほとんどの地域の戸籍は平成10年代にコンピュータ化された戸籍です。例えば奥さんがいて、子供が3人で内1人は平成元年に結婚していたとして戸籍がコンピュータ化されたのが平成15年だとすると、平成15年の段階では結婚した子はすでに親の戸籍からは外れていて、コンピュータになる時には親の戸籍にはまったく書かれていないことになります。つまりコンピュータになる前の「改製原戸籍謄本」が必要になります。
さらに、奥さんがいると言うことは、結婚した時に夫婦新しい戸籍が作られたはずですから、結婚する前の親御さんの除籍なり改製原戸籍謄本が必要になり、そしてまたさらにコンピュータ化になる前の改製原戸籍は大体昭和35年頃から使われ始めた様式である事が多くて、またその前の改製原戸籍が必要になってきたりします。
この様にして、被相続人の人生を戸籍という観点から遡って調べるわけです。

ちなみに、子供さんがいなくて亡くなった場合は、親御さんや祖父母が相続することになりますが、上の代は大体本人より先に亡くなっているでしょうから、その次は兄弟です。
この場合は、今言った子供さんがいない事を証明する範囲で戸籍を全て調べて、親御さんや祖父母が、本人より先に死に絶えている戸籍を調べ、さらに全ての兄弟が確認できるようにご両親の戸籍を遡って調べることになります。

気が遠くなりそうですね。ここまで来てしまうとちょっとした興信所の探偵気分で調べないといけません。
また、複雑な相続関係だと、相続人の一人である依頼者にも全ての相続人を把握している訳じゃない場合もあり、その場合は今言った遡る作業の他に、遡っている過程で発見した子供さん達の現在の生きている戸籍謄本を探す「下向き」の作業も入ります。

この様な作業をして、初めて相続人が誰か特定できるわけで、ここから相続人同士に財産をどう分けるか話し合ってもらうわけですから、相続手続というもの大変で後回しにしがちですけど、本当は早め早めにやっておかないと時としてもっと大変なことになるということでしょうかね。

自分で書いていて気が遠くなりました。
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