よくあの人を見習えという意味で「爪の垢を煎じて飲ませたい」と言いますけど、爪に垢なんてないし、百歩譲ってあったとしても何か汚らしいから飲みたくないですよね。







…で、おなじみのT川です。

さて私事で恐縮ですが、先日大学時代の友人の結婚式に参列しまして、同じく招待された友人達とも久しぶりに会って、酒を飲んだりして交友を深めてきました。
その時の話です。
(以下、旧友同士の酒の席での会話であることを予めお断りしておきます)

友「T川、今、何の仕事してるの?」
私「司法書士事務所で働いているよ。資格を取るために勉強中なんだ」
友「ふーん、司法書士ねえ…」

どうやらその友人、司法書士にあまりいいイメージを持っていない様子。
聞けばマイホームを買った時にハウスメーカーから紹介された司法書士というのが「金髪の頭悪そうな女」だったらしく(※宮城県の司法書士ではありません←ここ重要!)、「何でこんなのに30万円も払わなあかんねん!」と思ったそう。

建て売りの場合、司法書士に払う約30万円のうち、半分以上は報酬ではなく法務局に払う登録免許税(実費)。
それは事前に明細を見たからわかっている。
でも、納得行かない。
何でたかが2枚の申請書のために30万円も(だから半分以上は実費だって笑)払わなあかんねん!と。

会社を設立して経営する人や不動産業者等の人は別ですが、ほとんどの人にとって、司法書士という職業の人に何かを依頼するのは一生に一度あるかないかだと思います。
それもマイホームを買う時に、よくわからないけど登記というものをしなければならないらしくて、そのためには何万円もかかるらしい、でも必要らしいからハウスメーカーから紹介されるがままに仕方なく依頼、というケースが多いのかも知れません。

ほとんどの人はその程度の認識なのに、「金髪の頭悪そうな女」(※宮城県の司法書士ではありません)が出てきたら、そりゃあ不快でしょうね。
たとえ登記をしなかったらどういう弊害があるか、それを扱う司法書士がいかに重要な責任を担っているのか、ということを民法177条の解説を交えて説明し、わずか1~2枚の申請書の中にそれらを実現するための不動産登記法や長年の先例の積み重ねという叡智が凝縮されているのだ、と力説したところで「わかった、わかった、要するに大事なのね」で済まされるのがオチですし、人間の気持ちというのは理論で割り切れませんから、気に入らないものは気に入らないわけで。

だとしたらせめて「何でこんな人にお金出さなきゃいけないの?」と思われない身なり、立ち居振る舞いをするのが司法書士として最低限、暗黙のルールといえるかも知れません。
だってお客さんが本当に欲しいのはマイホームであって不動産登記ではないですし、社長さんが本当にやりたいのは商売であって商業登記じゃないわけですから。
必要なものは必要なものとして理解はしていただきたいが、相手が納得するレベルで説明するのが難しい。
まさに細かすぎて伝わらない職業。
などということを考えながら飲みました。