2009年 6月の記事一覧

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09年06月30日 11時49分28秒
Posted by: t2yamaguchi
アクセスありがとうございます。

補助者の山口です。
指定受取人と被保険者の同時死亡
保険金の受取人について最高裁の判例が出ました。

被保険者が死亡した時点で、
指定受取人がすでに死亡している場合、
受取人は指定受取人の法定相続人又はその順次の法定相続人であって被保険者の死亡時に現に生存する者となります。

民法では死亡の先後が定かでない場合は同時に死亡したものと推定されます。
指定受取人妻Cと被保険者夫Aが同時死亡した場合は
夫婦間の相続は起こりませんので、上記の例では相続人はFのみとなり、
保険金の受取人は妻側の親族のFだけとなります。

しかし、それは保険契約者の意思に反するとして、
妻が先に死亡したものとみなして、夫の相続人も順次の法定相続人として
保険金の受取人とすべきだという考え方がありました。

このたびの判例では
指定受取人を先に死亡したとみなす根拠がないということで、
原則どおり、夫婦間の相続がないものとして
妻の相続人だけが受取人とされると判断されました。

上記の図でいうと
夫Aの兄Eは受取人とならず、妻Cの弟Fだけが受取人となります。

「妻側だけが受け取るのは夫の意思に反する」という主張は退けられました。

法律的には妥当な判断だと思われます。

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09年06月26日 09時49分29秒
Posted by: t2yamaguchi
アクセスありがとうございます。

補助者の山口です。

古い判例ですが相続と保険金の話です。

指定受取人関係図
被保険者が夫Bで、保険金の受取人を子供Cと定めていた場合に
Cが先に亡くなってしまい、受取人を変更する前にBも亡くなってしまった場合、
受取人はだれになるか?
※夫Bの両親は亡くなっていて兄弟DEFGがいる。

奥さんAが全額貰ってもいいように思えますが、
ADEFGで等しい割合で受け取ります。

指定受取人が死亡した場合は「保険金額ヲ受取ルヘキ者ノ相続人」が受け取ります。そこで相続人が保険金発生までに死んだ時に問題となります。

今回の問題では AとBが相続人なのは間違いありませんが、Bは保険金を受け取る段階で死んでいます。Bは死亡しているので受取人とはなれません。Bが受け取れない以上、Bの相続人が受け取るのか、Aだけが受け取るのかが問題となります。

その点判例は「保険金を受けるべきものの相続人」
指定受取人の法定相続人又はその順次の法定相続人であって被保険者の死亡時に現に生存する者としました。

指定受取人Cの法定相続人は前述のとおりAとB
Bが死亡しているので順次の法定相続人がADEFGです。
よって、保険金を受け取るのはADEFGです。

Aは2重の立場で受取人となります。
そこで次に問題となるのが受け取る割合です。
相続だとするとAはかなりたくさんもらえる立場です。
判例はどのように判断したのでしょうか?

判例は受け取る割合
民法四二七条の規定の適用により、平等の割合、と判断しました。

※民法427条
数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。

この問題はだれが保険金を受け取るかの問題であって、
保険金の相続の問題ではないので、
Aがたくさんもらえなくても仕方がないようです。

指定受取人が亡くなった場合は、
なるべく早く受取人の変更手続きをしたほうがよいでしょう。




この問題の判例はつづきにあります。

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09年06月18日 16時26分36秒
Posted by: t2yamaguchi
登録免許税の特例

アクセスありがとうございます。

司法書士事務所で補助者をやっております。山口です。

もう一月以上も前になりますが登録免許税の話です。

平成21年4月1日から不動産売買の登録免許税が上がるはずだったんです。
ややこしいですが、正確には減税の一部撤廃です。
2%だったのが、一時的に1%に減額されていて、
それが4月1日から1.3%になるはずだったんです。

しかし、司法書士連合会の方々が頑張ったおかげで、
あと2年間は減税措置が継続されることになりました。

司法書士連合会も国会議員もちゃんと仕事をしているんだな感じました。

事業承継や民法法人の改正に関してもそうですが、
トップニュースにはならないところで国会議員(官僚)も頑張っているんだなと
法律にかかわる仕事をしてから特に感じるようになりました。

画像は財務省のホームページから
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/267.htm




09年06月16日 13時53分21秒
Posted by: t2yamaguchi
アクセスいただきありがとうございます。

補助者の山口です。

事務所代表者がブログを更新しました。
映画盗撮防止法についてです。

映画の盗撮は倫理的にはダメに決まっていますが、
これを法律的にさばくとなると、
色々な問題が生じていたのでしょうね。

著作権の私的利用をいいわけに逮捕を免れることが
現実的にできたかは別として、
法律が整備されていくのはいいことだと思いました。


司法書士山口達夫事務所 補助者山口
http://shihoshoshi-yamaguchi.com/

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09年06月13日 12時19分00秒
Posted by: t2yamaguchi
アクセスありがとうございます。

補助者をやっております山口です。

当事務所のウェブサイトのアクセスをチェックしたところ、
「減額報酬なし」のキーワードで検索されたて
当事務所のウェブサイトにアクセスしてくださった方がいました。

当事務所が減額報酬を取らない理由は当事務所のウェブサイトに載せてありますので
なぜ、減額報酬を取らないかはここでは説明しませんが、
任意整理は「減額報酬0%」こそが適正価格だというのが当事務所スタッフの一致した見解ですので、
そういった部分で事務所が評価(といってもアクセスしていただいただけですが、)されると
非常にうれしく思います。


 補助者山口
東京都立川市 司法書士山口達夫事務所のウェブサイトへ
TEL:042-521-0888 FAX:042-595-8602
→→→お問い合わせフォームを使う
2009年8月29日に司法書士無料相談会を開催予定です

09年06月10日 19時11分00秒
Posted by: t2yamaguchi
最判昭和38年12月24日の解釈の問題です。

アクセスありがとうございます。
補助者をやっております。山口です。

過払い請求訴訟で現在争点となっているのは
札幌高判平成21年4月10日の判決に関して、
つまり利息発生日についてだと思います。

ただ以前は訴訟の引き延ばしのために
「みなし弁済ができることを信じていたので悪意受益者ではない。」
という主張がよくなされていたと思います。
悪意受益者ではないから利息の返還義務はないということでしょう。

しかし、善意受益者ならば本当に利息の返還義務はないのでしょうか?

民法704条は、善意受益者に「現存利益」の範囲内で返還義務があることを示してます。

この現存利益は支払の上限を定めただけです。
支払うべき金額は条文から明らかではありません。

つまり、不当利得とそれによる運用利益があり、それが現存している場合に
不当利得した金銭のみ返還すればいいのか、
不当利得した金銭に法定利息を加えて返還するのか、定かではありません。

この範囲が悪意の受益者と同様であれば、
両者の違いは利益が現存するかだけであり、
貸金業者は「悪意受益者ではないから利息の返還義務はない」とは言えなくなります。

では 判例はどのようになっているでしょうか?

最判昭和38年12月24日 (pdf)
「社会観念上受益者の行為の介入がなくても不当利得された財産から損失者が当然取得したであろうと考えられる範囲においては、損失者の損失があるものと解すべきであり、したがつて、それが現存するかぎり同条にいう「利益ノ存スル限度」に含まれるものであつて、その返還を要するものと解するのが相当である。」

この表現だけでは「社会通念上当然」の意味がよくわからないです。

この点、「社会通念上当然取得したであろうと考えられる範囲」の解釈は下級審で分かれています。


平成19年04月12日 京都地方裁判所 pdf
「受益者の行為の介入がなくても不当利得された財産から損失者が当然取得
したであろうと考えられる範囲」とは,社会観念上,定期預金金利をもって
観念されるところ,近年の金利動向に照らせば,上記範囲が民法所定の法定
利息に到底及ばないことは明らかである

平成18年08月31日 大阪高等裁判所 pdf
一般市民が損失者であっても,
民法703条に基づき,利得金に民法所定の年5分の利率で計算された利息
相当額を付して,返還させなければならないという帰結になる。

平成14年01月24日 佐賀地方裁判所 (商人間) pdf
この最高裁判決の理論を推及するなら,被告丙は,原告に対し,過払金に年
6分の利息相当金を付した金額を請求できる権利があると解される。

京都地裁は社会通念に重きを置き、
ほかは法律の整合性に重きを置いた形でしょうか?

金銭債権に対して損害賠償で法定利率が年5分であることとの整合性、
逸失利益の計算において年5分が使われていることとの整合性。
そういったことをかんがえると
やはり、現実の定期預金金利はどうあれ、法定利息が妥当かなと個人的に思います。

クレサラ問題では悪意の受益の立証が容易なので、
主張する機会はあまりないと思いますが、
すこし気になったので、備忘録として書き留めておきました。

司法書士山口達夫事務所 補助者山口
http://shihoshoshi-yamaguchi.com/

09年06月03日 19時36分00秒
Posted by: t2yamaguchi
補助者山口です。

アクセスいただきありがとうございます。

入所したての頃の話ですが、
戸籍を取り寄せて相続関係を確認する作業をやっていたことがあったんです。

その戸籍が古いものだと手書きになっていまして、
中には読めない文字も出てくるんですよね。

薄くて読めない、汚くて読めない、というのは仕方ありませんが、
私自身の無教養で読めない字というのもありました。

漢字ではなくて仮名文字で。

漢字ならば調べればよいです。

日付で「朔日」と出てきてもインターネットで調べれば「ついたち」だとわかります。

しかし、人名で古いひらがなが出てきたときはお手上げでした。
「ゐ」や「ゑ」は見たことがあっても、それ以外の仮名は見たことがありませんでしたし、
何と呼ばれるものなのかわかりませんでしたから
調べようもありませんでした。

恥ずかしい話、ただの下手な草書かと疑ったぐらいです。

そこで先輩にきいたら
どうやら「変体仮名」というものらしく、
登記小六法には「変体がな一覧表」があるとのこと。

見てみたら、さすが登記小六法です。
そこには見事な変体仮名の表がありました。
「変体仮名」で検索するよりもはるかに上質な物が身近にあったのです。

インターネットが発達してほとんどの情報が簡単に手に入るようになっても、
まだまだ書物が勝っている分野も多いのだろうと思いました。

ちなみに変体仮名はこんな文字です↓

変体かな
Koin変体仮名さんから転載 http://www10.plala.or.jp/koin/koinhentaigana.html



司法書士山口達夫事務所 補助者山口
http://shihoshoshi-yamaguchi.com/
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