ちょっと前に記事にした件の続きです。
過払い金の計算方法:充当と相殺

過払い金の計算方法で、充当と相殺というものがあります。
充当と相殺の違いは結構説明が難しいです。
私も理解するのに結構時間がかかりました。


まず結論から。充当計算すると過払い金は増加します。相殺では減る。
充当≧相殺ということになります。イコールの場合は一応ありえますが、レアケースとお考えください。

相殺が不利なのは、端的に言えば過払い金と借金が併存する状態になるためです。
過払い金には利息がついたとしても5%。一方の借金は、残高に応じて最大15~20%の利息を取ることができます。相殺が不利なのは、金利がアンバランスが原因です。

50万の過払い金と、50万の借金を1年併存させる例で説明します。

50万の過払い金には5%の利息がついて、合計525,000円。
50万の借金には、18%の利息がついて、合計590,000円。
この時点で相殺したとすれば、実に65,000円の、いわば逆ざや状態です。

充当計算なら、50万の過払いと50万の借金が発生した瞬間、充当計算(相殺ではない)するので、過払いも借金も0円。
1年たっても1円の利息も発生しないことになります。

今の説明では、「50万の過払いと、50万の借金が生じた時に相殺すれば同じじゃないか」と思われる方はたくさんいらっしゃると思います。全くその通りです。
私もそう思っていましたが、この考えには重大な前提が抜け落ちています。

借入している人たちは、過払い金があることを知らないんです。
過払い金というのは、正しい金利で計算しなおすまでその額はおろか、存在するかどうかさえわかりません。
つまり、「私は今過払い金が50万円あるから、こっちの50万円の借金と相殺してチャラにしてしまおう」などという人はいないんですね。
いわゆるグレーゾーン金利での取引で起こる、見落とされがちな特性です。

つまり、借入してる人は過払いになっているかどうかわからないので、相殺する機会がありません。
そうすると、相殺できることに気づかないうちに支払いを続けてしまい、50万円の借金の方も返済してしまうわけです。
そして、50万円の借金を完済した後に、50万円の過払い金について気づいたとしても、もう相殺することができません。借金は完済していますので、相殺の対象がなくなってしまうわけです。
借金には当然金利がついていたわけですが、それも含めて完済してしまう。
一方の50万円の過払い金は、5%の利息が得られるだけで、上記の逆ざや状態です。

充当計算というのは、上記のような相殺のデメリットを克服できます。
この計算方法では過払いと借金の併存がありえませんので、借入してる人は過払いに気づかなかったとしても、その過払い金を借金の支払に当てる(充当する)ことができるわけです。
オートマチックに相殺する、と言う表現だと分り易いかもしれませんね。
ただ法的には相殺には意思表示が必要なので、オートマチックに相殺するというのは矛盾をはらんだ言葉になってしまいます。

そんな便利な充当計算ですが、あらゆるケースに使えるわけではない、というのが最高裁の立場です。
長くなったので以降は別の機会に譲りたいと思います。

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