相続放棄とは、被相続人の財産を全て放棄し、最初から相続人ではなかったものとする方法です。被相続人の遺した遺産よりも、借金のほうが明らかに多いような場合には相続放棄をすべきでしょう。

ただし、借金が多い場合に相続放棄をしたとしても、次の順位の相続人に借金がまわっていくことになるため、注意が必要です。つまり、たとえば父が亡くなって、妻と子供全員が相続放棄したとしても、次の順位の相続人である祖父や祖母が借金を相続することになり、祖父や祖母も相続を放棄した場合にも、父の兄弟姉妹が借金を相続することになります。相続人になる全ての者が相続放棄をしてはじめて、借金を相続することを避けることができます。

【相続放棄と生命保険金】
たとえば、夫が亡くなり、妻を生命保険の受取人にしていたとして、妻が相続放棄をすると、保険金の受け取りができなくなってしまうでしょうか。これについては、生命保険の契約内容によって異なります。保険金の受取人が妻になっている場合には、妻は相続放棄をしても、保険金を受け取ることができます。保険金を受け取る権利は、相続人としての権利ではないからです。これに対して、被相続人を保険金の受取人とするような契約内容の生命保険があります。このような契約内容の保険の場合には、保険金は相続財産となるため、妻は相続放棄をすると、保険金を受け取ることができなくなります。

【代襲相続との関係】
代襲相続というのは、被相続人が亡くなるよりも前に法定相続人が死亡した場合に、その法定相続人の子供や孫が代わりに相続人となるという制度です(民法887条2項)。法定相続人の死亡の場合だけではなく、相続欠格事由に該当したり廃除されたりしたような場合にも代襲は起こります。しかし、法定相続人の相続放棄の場合には、代襲は起こりません。民法887条2項の条文には、代襲原因として「死亡」「欠格」「廃除」のみが規定されており、相続放棄は入っていないからです。

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相続放棄(相続登記)
※相続放棄は、自己のために相続が発生したことを知ってから3か月以内に家庭裁判所に申請しなければいけません(民法921条2項)お早めにご相談ください。
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