破産手続き開始決定がなされると、原則として、財産の換価をして債権者に配当をする手続きが行われます。しかし例外的に、財産の換価が行われない場合があります。この、例外的に財産の換価を行わない手続きを、同時廃止手続きと呼びます。そして、財産の換価を行う手続きは、管財手続きと呼びます。

破産手続を管財または同時廃止のどちらの手続きで進めるのかは裁判所が決定しますが、裁判所ごとに基準が若干異なります。一般的な基準としては、破産法216条で、「裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、破産手続開始の決定と同時に、破産手続廃止の決定をしなければならない。」と規定されており、管財費用を支弁できるような多くの財産を保有していない場合には同時廃止となり、保有している場合には管財となるということですが、具体的な基準は、裁判所ごとに異なります。

多くの裁判所では、財産を現金・預貯金・保険の返戻金・退職金などのいくつかのジャンルに分類し、各ジャンルごとに20万円以上の財産を保有していれば、管財手続きとなります。たとえば、管財手続と同時廃止手続との振り分け基準が公開されている横浜地裁の運用では、「債務者が保有している個々の資産(現金,預金,保険解約返戻金,退職金債権の8分の1,自動車などのいずれか)が20万円を超える場合」には、清算型の管財手続きとなります。

これに対して、大阪地裁の運用では、保険解約返戻金などの各項目が20万円を超える場合にも、その全額(20万円を超えるジャンルについての全額)を債権者に債権額に応じて按分弁済することで、同時廃止手続きとするとされています。また、現金については、99万円までの現金が差し押さえ禁止であること(破産法34条3項・民事執行法131条3号・民事執行法施行令1条)から、99万円以内の現金を保有していても按分弁済の対象とせず、99万円場合には超過分について按分弁済をして同時廃止の手続きとするという運用が行われています。

さらに、大阪地裁独特の運用として、普通預金の取り扱いがあります。上記の横浜地裁を含む大半の裁判所の運用だと、現金と預金は別ジャンルとされており、いずれかが20万円を超える場合には管財手続きとなります。これに対して、大阪地裁では、以前は他の裁判所同様に現金と預金を別ジャンルとしていましたが、現在では、普通預金が「財布代わり」として利用されており、多額のお金を現金で所持していることはあまりなく、まとまった現金があれば普通預金として管理することが通常であるという実態から、現金と普通預金は同一のジャンルに分類し、現金と普通預金の合計が99万円以内であれば、按分弁済の必要なく、同時廃止で処理できるという取り扱いとされました(2008年12月全訂新版「はい6民です お答えします」22ページ参照)。

ただし、大阪地裁のように99万円以内の現金を保有していても按分弁済の対象とせず同時廃止とする裁判所でも、申し立て直前に財産を現金化をした場合には、これを現金とは扱わず、現金化される前の状態を前提に、按分弁済の要否を判断します。これは、大半の裁判所に共通の扱いです。