いつもの【覚書】って程じゃないんですが、以前、こういう事案にぶち当たって頭を悩ましたことがあります。
売買なんですが、不動産の所有者は既に死亡していて相続人不存在(正確には「相続人があることが明らかでない」ということですが)の状態で、相続財産管理人も選任されて、相続財産法人の名変登記も入っている状態です。
この物件を地元の自治会と言ったら良いのかな、区が買うという話が進みました。
で、私に話が来た段階では、まだ地縁団体の認可が下りていなくて、これから申請するとのことでした。
しかし、既に相続財産管理人の権限外行為許可は下りているとのことで、ここで「???」と思いました。
まだ、認可されていない、いわば存在していない法人を買主として売却の許可が下りるのか?と思ったわけですが、実際許可書を見せてもらうと、なるほど許可は下りている。
ちなみに買主は「○×区」となっていました。
その数ヶ月後に地縁団体の認可も下りまして、さあ代金決済だということになったわけですが、認可された地縁団体の名称は「○×自治会」となりました。
「○×」の部分は地域名で同一でしたし、主たる事務所も同一になりましたので、同一の団体であることは想像に難くないですが、微妙に名称が違う。
こういうのって一般常識的には「いっしょやろ!」の一言ですんじゃう話のはずですが、登記というのは一字一句が細かい世界なので頭を悩ませて、とりあえず調べるわけです。
そのものズバリというものはもちろんなかったんですが、こういうのはありました。

(以下、最近流行りのコピペでご紹介します)
権利能力なき社団である地縁団体が、売買等により不動産を取得したのにもかかわらず代表者個人名義の登記をしていない場合において、その後、所有権移転の登記申請時までに地方自治法260条の2第1項の市町村長の認可を受けている場合には、不動産を取得した権利能力なき社団である地縁団体と認可地縁団体とに同一性を認められるのであれば、認可地縁団体名義に直接に所有権移転登記をすることができる(平成16・1・21民二146)。

まあ、つまり法人格取得前でも団体が存在していたのなら、法人格取得前の日付で売買はできるってことですよね。
売買の日付でさえOKなんだから、その前段階の権限外行為許可が法人格取得前でも大丈夫だろうと思いました。
あとは、純粋に名称が違う場合でも「権利能力なき社団である地縁団体と認可地縁団体とに同一性を認められるの」にあたるかどうかですよね。
これは、ほとんど見る人の主観的なレベルになると思うので、いくら調べてもわかるまいと思いましたので、法務局にうかがいを立てました。
結果としては、「同じ地域で同じ主たる事務所で、複数認可地縁団体があるのはあまり考えられない」と言うことで今回の件に関してはOKということになり、この件も無事に所有権移転登記を完了することができました。

まったく、○×区と○×自治会、こんなことで頭を悩ませるのは司法書士くらいのものかもしれないですね。
ほとほと司法書士というのは客のために小さなことでメチャメチャ頭を抱える商売だと思いました。


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